お正月にはおせちとお雑煮をいただくのが習わしである。
だが当節は、元日だけ伝統的なスタイル、
翌日からは通常の食事という家庭が増えたらしい。
そのせいか、デパートやスーパー、コンビニでは、
早々と10月からおせちの予約を受け付ける。
1日のためだけにあれこれの手間をかけるより
買った方が早いということ。
和風、洋風、中華風、冷凍あり通販あり。
値段もさまざま、三段重20万円の豪華版もある。
近頃では個食用も需要があるようだ。
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私が子供の頃、毎年12月にはお餅つきをした。
家には石臼があり、杵やせいろ(蒸籠)、もろぶたも揃っていた。
もろぶたとは、お餅を並べる浅い木の箱のこと。
見たことがない方もおられよう。
前の日に水に浸しておいた米を、朝蒸す。
蒸し上がった米はすぐに臼に入れる。
父が杵で米粒をつぶして後、リズミカルにつく。
合間に母が返し手をつとめる。
まさしくペッタン、ペッタン、サッという呼吸。
つきあがったら、すぐに、餅とり粉をしいたのし板に移す。
郷里では丸餅にする。
手伝いに来ている近所のおばさんたちと私は、
一つひとつ手で丸めてゆく。
あんこを上手にくるむのは難しいから、
もっぱら私は平餅係である。
父は両刀遣い、晩酌もしていたが、あんこ餅も好きだった。
数臼もつくから、大人は大変だったろう。
なにしろ、松の内に限らず、冬の間はずっとお餅を食べていたから。
我が家の餅つき道具一式はあちこちに貸し出されていた。
寒の餅つきもした。
1月終わり頃だったかな。
そこでかきもちを作った。
砂糖を入れたり、海苔をふったり、食紅を加えたり。
薄く切って干してできあがり。
火鉢の上に金網を載せて焼いたものである。
こんな経験、うちの子供たちにはさせられなかった。
イベントとしては何回かあったが、当事者としてではない。
彼女らが年をとって冬の食として思い出すのは、
どんな風景だろうか。
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このコラムは、
「Wife」に毎号、河上多恵子が執筆している「トナリの暮らし」を
そのまま載せています。
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